法定相続情報一覧図とは?作り方・必要書類・使える手続きを司法書士が解説
相続手続きを進めるとき、銀行・法務局・税務署…と提出先ごとに「戸籍謄本の束」を出しては返してもらう作業に、うんざりした方は多いのではないでしょうか。その手間を大きく減らしてくれるのが法定相続情報一覧図です。
本記事では、法定相続情報一覧図とは何か、必要書類と作り方、どの手続きで使えるのか、そして意外と知られていない注意点まで、福岡・古賀市の司法書士がわかりやすく解説します。
この記事の要点(先に結論)
- 法定相続情報一覧図は、戸籍の束の代わりに使えるA4一枚の公的証明書(法務局が認証)
- 交付手数料は無料・何通でも。複数の相続手続きを同時並行で進められる
- 作成には結局出生から死亡までの戸籍一式が必要(最初の収集は省略できない)
- 相続放棄は一覧図に反映されないなど、使ううえでの注意点がある
法定相続情報一覧図とは
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方(被相続人)の相続関係を1枚にまとめた図に、法務局(登記所)が「戸籍と照合済み」という認証文を付けて交付してくれる書面です。2017年5月に始まった「法定相続情報証明制度」に基づくもので、交付された「一覧図の写し」は、戸籍謄本の束の代わりとして各種の相続手続きに使えます。
何がラクになる?——使える主な手続き
戸籍の束は提出先ごとに「原本を出す→確認後に返してもらう→次の窓口へ」と順番に回すしかなく、手続きが直列になりがちです。一覧図の写しを人数分そろえれば、次のような手続きを並行して進められます。
- 相続登記(不動産の名義変更・2024年4月から義務化)
- 銀行・ゆうちょ銀行の預貯金の解約・名義変更
- 証券会社の株式・投資信託の移管
- 相続税の申告(税務署)
- 年金関係の手続き
※提出先によっては追加書類を求められる場合があります。事前に各窓口へ確認すると確実です。
取得の流れと必要書類
STEP1:戸籍一式を集める
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人全員の現在戸籍、被相続人の住民票の除票などを集めます。集め方のコツと広域交付制度は前回の記事で詳しく解説しています。
STEP2:一覧図を作成する
集めた戸籍をもとに、被相続人と相続人の関係をA4用紙にまとめます。書式は法務局のひな形に沿って作成します(手書きでもパソコンでも可)。
STEP3:法務局へ申出する
必要書類と一覧図、申出書を法務局へ提出します。窓口のほか郵送でも申出可能です。
| 主な必要書類 | 備考 |
|---|---|
| 被相続人の出生〜死亡の戸籍一式 | 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 |
| 被相続人の住民票の除票 | 取得できない場合は戸籍の附票 |
| 相続人全員の現在戸籍 | 発行日の新しいもの |
| 申出人の本人確認書類 | 運転免許証のコピー・マイナンバーカード表面のコピーなど |
| (住所を記載する場合)相続人の住民票 | 一覧図に相続人の住所を載せる場合に必要 |
申出できる法務局(いずれか1つ)
- 被相続人の本籍地または最後の住所地を管轄する法務局
- 申出人の住所地を管轄する法務局
- 被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局
利用するときの注意点
⚠️ 相続放棄・遺産分割の内容は反映されない
一覧図はあくまで「法定相続人が誰か」を証明する書面です。相続放棄をした人がいても一覧図には法定相続人として記載されるため、放棄の証明には家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書を併用する必要があります。同様に、遺産分割協議で決めた「誰が何を相続するか」は一覧図には載りません(遺産分割協議書が別途必要です)。
- 数次相続(相続人がさらに亡くなっている場合)では、被相続人ごとに一覧図が必要になります
- 再交付を申出できるのは当初の申出人です(申出から5年間)
- 提出先によっては「発行後◯ヶ月以内」など独自の運用がある場合があります
よくある質問(FAQ)
Q. 法定相続情報一覧図の取得に費用はかかりますか?
A. 交付手数料は無料で、必要な通数を何通でも交付してもらえます。申出から5年間は再交付も無料です(再交付を申出できるのは当初の申出人です)。
Q. どこの法務局に申出すればいいですか?
A. 被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局に申出できます。郵送でも申出可能です。
Q. 一覧図があれば戸籍の原本は集めなくてよいのですか?
A. いいえ。一覧図を作成する最初の申出時には出生から死亡までの戸籍一式が必要です。交付後は、各提出先に戸籍の束の代わりとして一覧図の写しを使えます。
Q. 相続放棄した人がいる場合も使えますか?
A. 使えますが、一覧図に放棄の事実は反映されません。放棄した人も法定相続人として記載されるため、相続放棄申述受理証明書を別途併用します。
Q. 有効期限はありますか?
A. 一覧図の写し自体に法律上の有効期限はありません。ただし金融機関などが「発行後◯ヶ月以内」といった独自の取り扱いを設けている場合があります。再交付は申出から5年間可能です。
まとめ
法定相続情報一覧図は、無料で作れて相続手続きの手間を大きく減らせる、使わない理由のない制度です。一方で、作成には戸籍一式の収集と正確な読み解きが必要で、相続放棄や数次相続が絡むと書類の組み合わせに専門的な判断が求められます。
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