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2026年6月6日 相続・遺言

相続放棄と限定承認の違いとは?どちらを選ぶべきか司法書士が解説

「親が多額の借金を残して亡くなった」「相続財産がプラスかマイナスかわからない」——そんなとき、相続人には3つの選択肢があります。何も手続きをしない「単純承認」、一切を引き継がない「相続放棄」、そして財産の範囲内でのみ借金を返す「限定承認」です。

このうち相続放棄と限定承認は、どちらも借金などのマイナス財産を引き継がないための手段ですが、仕組みも手続きも全く異なります。本記事では、両者の違いと、どちらを選ぶべきかを福岡・古賀市の司法書士が解説します。

相続の3つの選択肢

まず、相続人が選べる3つの方法を整理します。

選択肢 内容 申述先 期限
単純承認 プラス・マイナス財産を全て引き継ぐ 手続き不要 (3ヶ月経過で自動成立)
相続放棄 財産・借金を一切引き継がない 家庭裁判所 3ヶ月以内
限定承認 プラス財産の範囲内でのみ借金を返す 家庭裁判所(相続人全員で) 3ヶ月以内

⚠️ 3ヶ月の期限は「相続を知った日」から

相続放棄・限定承認ともに、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。被相続人の死亡日ではなく、自分が相続人だと知った日が起算点です。期限を過ぎると単純承認したとみなされます。

相続放棄とは

相続放棄とは、相続に関するすべての権利・義務を放棄する手続きです。放棄した相続人は「初めから相続人でなかった」ものとして扱われます。

相続放棄のメリット

  • 借金などのマイナス財産を完全に引き継がなくて済む
  • 手続きが比較的シンプル(各相続人が単独で申述できる)
  • 他の相続人の同意が不要

相続放棄のデメリット・注意点

  • プラスの財産(預貯金・不動産など)も一切受け取れない
  • 一度申述が受理されると原則取り消せない
  • 放棄した分が次の順位の相続人(兄弟姉妹など)に移る——連絡・調整が必要
  • 財産の一部でも使用・処分すると単純承認とみなされ放棄できなくなる

相続放棄が向いているケース

  • 借金がプラス財産を明らかに上回っている
  • 相続財産に全く関心がなく、手続きの手間を省きたい
  • 他の相続人に財産をまとめて集中させたい

限定承認とは

限定承認とは、相続によって得たプラスの財産の範囲内でのみ、被相続人の借金を返済するという方法です。プラスが借金を上回れば差額を受け取れ、借金が多くてもプラス財産を超えた分は返済しなくてよい、という「損をしない」仕組みです。

限定承認のメリット

  • プラス財産がマイナス財産を上回った場合、差額を受け取れる
  • 財産の全体像が不明なときの「保険」として使える
  • 特定の財産(自宅など)を先買い権で取得できる場合がある

限定承認のデメリット・注意点

  • 相続人全員が共同で家庭裁判所に申述しなければならない——一人でも反対すると使えない
  • 相続財産管理人(限定承認の場合の清算手続きを担う者)を選任する必要がある
  • 相続財産を換価(売却)して清算する手続きが発生し、手間と費用がかかる
  • 財産に不動産が含まれる場合、みなし譲渡所得課税が発生することがある

⚠️ 限定承認は「相続人全員の同意」が必須

相続人の中に一人でも「単純承認したい」「相続放棄したい」という人がいると、限定承認は選べません。また、相続放棄した相続人は最初から相続人でなかった扱いになるため、残りの相続人全員で限定承認することは可能です。

相続放棄 vs 限定承認:どちらを選ぶべきか

相続放棄を選ぶとき

  • 借金が財産を明らかに上回っている
  • 財産の調査をする余裕がない・したくない
  • 他の相続人が相続放棄に同意しない可能性がある
  • できるだけ早く・シンプルに手続きを終えたい

限定承認を選ぶとき

  • 財産とマイナスのどちらが多いか不明
  • 特定の財産(家業・自宅など)だけは手元に残したい
  • 相続人全員が協力できる状況にある
  • 財産整理の手間と費用をかけられる

実務上は、限定承認は手続きが複雑で費用もかかるため、利用件数は相続放棄と比べて非常に少ないのが現状です。「財産の全容が不明」というだけで限定承認を選ぶより、まず財産調査をしっかり行い、その上で相続放棄か単純承認かを判断するのが現実的なケースも多くあります。

3ヶ月の期限が迫っているときの対処法

財産調査が間に合わない場合は、家庭裁判所に熟慮期間の延長を申請することができます。相続開始から3ヶ月以内であれば、1〜3ヶ月程度の延長が認められることが多く、その間に財産状況を把握した上で判断できます。

期限が迫ったときの対処手順

  • まず相続財産・負債の概要を調査(金融機関・法務局・信用情報機関など)
  • 3ヶ月以内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に「熟慮期間延長の申立て」を行う
  • 急を要する場合は早めに司法書士へ相談

まとめ

相続放棄と限定承認は、どちらも借金を引き継がないための手段ですが、手続きの複雑さ・要件・効果が大きく異なります。大まかには「借金が明らかに多い→相続放棄、財産がどちらか不明→まず調査してから判断、どうしても特定財産を残したい→限定承認も検討」というイメージです。

いずれも3ヶ月という期限がある手続きです。「どうすればいいかわからない」という段階でも構いません。早めに司法書士へご相談ください。当事務所では古賀市・福岡県内はもちろん、全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。初回相談は無料です。